1. はじめに

・FFピクセリマスターは2Dドットによるリメイク作品として2021年7月29日にFF1~3がSteam版、スマートフォン(iOS、Android)版が、同年9月9日にはFF4が発売されました。今後はFF5とFF6の発売も予定されています。リマスターとありますが、実質には仕様が変更された新作に近い内容になっています。ここではFF2以外には触れませんが、RTAにおいても当然大きな戦略変更が必要になっています。

・FF2はシリーズの中でも特殊なゲームシステムとなっており、以下のページで大まかに解説しています。より詳細なデータをまとめたサイトも公開されています。



・ FF2はこれまで何度もリメイクされてきましたが、①FC版、②WSC版とPS版、③GBA版とPSP版の大きく3段階で仕様が変更されてきました。ここでは最新作のピクセルリマスターと比較するためにGBA版とPSP版を「旧版」として呼ぶことにします。


2.  ピクセルリマスター特徴 

・2Dドットによるグラフィック一新! 音楽もアレンジ!  …等もありますがそれらは取り合えず置いておいて、RTA上で重要となる要素を取り上げていきます。ピクセルリマスターは見た目だけでなく、ゲーム内容が別物というくらい変更されています。主な変更点は以下の通りです。

《旧版との違い》 タイム短縮効果度合い→×
①逃げられない敵がほぼ消滅 
②戦闘でオートモードが追加 
③仲間が強制離脱する際に装備が自動で外れる 〇
④装備の回避性能が2倍に上昇 〇
⑤魔法干渉が復活 
⑥ミニゲーム(神経衰弱)が消滅 
⑦オートセーブ実装 
⑧ソフトリセットがない 
⑨後列も敵から物理攻撃を食らう ×
⑩テレポが敵にほぼ効かない ×
⑪逃げ確率が低下した…? ×
⑫両手盾装備で素手攻撃をするようになった ×
⑬魔法防御が攻撃の追加効果を防げない ×
⑭ムービースキップ不可 ×
⑮LR同時押しによる逃げコマンド消滅 ×



1)逃げられない敵がほぼ消滅
・FF2RTAと言えば、「逃げられるエンカを確実に逃げて、逃げられないエンカをいかに効率的に対処するか」という内容だったのですが、ピクセルリマスターではボスや宝箱の固定エンカを除き、ほぼ全ての敵から逃げられるようになりました。一部の逃げられない敵も大型モンスターばかりなので一目で分かります。

逃げられない敵
※逃げられない敵代表格のホワイトドラゴン

・旧版の逃げられないエンカはこの敵を覚えておけばよいというものではなく、このダンジョンの、この組み合わせは逃げられないといった、かなりマニアックな仕様になっていました。
しかし、ごく一部の敵以外は全て逃げられるようになったため、覚えることが格段に減ったことで、RTAへの参入障壁はかなり低くなったように思います。
・旧版では逃げられない敵は「テレポの本」や「ファイアの本」で対処していくのですが、その時間が全てカットできます。ただし、一方でボス戦でテレポがほぼ効かない等もあり、現状では旧版の方がタイムは早くなっています。


2)戦闘でオートモードが追加
・戦闘中に同じコマンドを繰り返すオートモードが追加されました。例えば、「たたかう」を繰り返す場合、ボタン1つで自動で戦闘してくれます。このオートモード中は戦闘速度が(たぶん)2倍になるのでタイム短縮には必須となります。コンフィグでカーソル位置記憶を”ON”に設定しておけば、次の戦闘時もボタン1で開始することができます。
戦闘速度2倍はあくまでもオートモード中に限るというところがポイントで、同じ行動を繰り返している場合は問題ないのですが、次のターンで別の行動を取る場合はオートモードを一回解除しなければなりません。例えば、次にターンに回復が必要な場合に解除を忘れると、回復ができないまま攻撃を繰り返すといった悲劇が生まれます。オートモード実装によってタイムが短縮されることは嬉しいのですが、結果的に戦闘が忙しくなってしまいました。
・道中で「逃げる」のオートモードを駆使して進めていると、たまに出てくる逃げられないモンスターにもオートモードの「逃げる」を選択してしまい、1ターンロスしてしまうことがあります。慎重にボタンを押しましょう。また、その逆もあります。ボス戦の後に、逃げるはずのところ「たたかう」を選択してしまうミスもあります。

オートモード
※ついオートモードで「逃げる」を選択してしまった瞬間…慎重に!

オートモード2
※ボス戦直後の雑魚戦、逃げるはずがついオートモードでボス戦のコマンドを繰り返した瞬間


3)仲間が強制離脱する際に装備が自動で外れる
・4人目のキャラとしてミンウ、ヨーゼフ、ゴードン、レイラ、リチャード、レオンハルトが加入しますが、最終メンバーとなるレオンハルトを除き、強制離脱時に装備が自動で外れるようになりました。旧版であった追加要素であるSoRがなくなったことも影響したんでしょうが、外し忘れは装備を持ち逃げされてしまうので単純に救済処置でしょう。FF4でも装備が自動で外れるようになりましたので、緩和は時代の流れですね。


4)装備の回避性能が2倍に上昇
・FF2は回避率(物理攻撃を回避する能力)が重要なのですが、武器と盾にこの回避率が設定されていて、装備することでも回避率を上げることができます(すばやさを上げることでも回避率は上昇)。旧版と比較して装備の回避率が2倍に上昇しました。具体例としては「古代の剣」が回避率+1%→2%、「ミスリルの盾」が+6%→12%といったところです。
・旧版では隠しパラメータだったのですが、ゲーム内で表示されるようになりました。

武器回避率1
※武器熟練度に応じて回避率も上昇するため+1%も貴重

盾回避率1
※盾の回避率は大幅に上昇


5)魔法干渉が復活 
・魔法干渉はFC版からあり、旧版ではなくなったのですが、ピクセルリマスターで復活しました。魔法干渉とは公式の呼び名ではないのですが、装備が魔法(魔法の本含む)の威力に影響を及ぼすというものです。装備を外した状態の方が敵に与えるダメージが上昇するようになっています。
・また「テレポの本」等の効きやすさも魔法干渉が影響しています。これら確率系の魔法の本使用時も装備を外しましょう。

魔法干渉1
※全ての装備を外した状態で「ファイアの本」使用

魔法干渉2
※装備状況によっては威力が半減程度まで落ちてしまう


6)ミニゲーム(神経衰弱)が消滅
・旧版では神経衰弱によって数分で10万ギル程度を稼ぐことができましたが、このミニゲーム自体がなくなってしまいました。しかし、ほぼ全ての敵から逃げられるようになったため、道中の雑魚敵対処で使用する「テレポの本」「ファイアの本」等が不要になっため、それ程大きな影響はありません。
・とはいえ、お金がないとアイテムも購入することができないため、序盤から雑魚敵を狩ることで金策をしていきます。


7)オートセーブ実装
・オートセーブされるタイミングは町/ダンジョンやフィールドへ移動したタイミングと、町/ダンジョン内での建物内や小部屋、フロア間を移動したタイミングです。戦闘終了時にオートセーブされません。
・中断セーブとオートセーブは別枠になっており、中断セーブから再開してもオートセーブとして上書きされることはありません。オートセーブから再開しようとして間違えて中断セーブを選択してしまっても、焦らずにもう一度オートセーブから再開しましょう。

オートセーブ1
※フィールドへ出た瞬間にオートセーブ

オートセーブ2
※フロアを移動した瞬間にオートセーブ

オートセーブ3
※道具屋から出た瞬間もオートセーブ(入った瞬間も)


8)ソフトリセットがない
・旧版ほどリセットすることはないのですが、あると便利。戦闘中にリセットする必要がある場合はソフト再起動しかないのでが、メーカーロゴが飛ばせないため、ゲーム内リセット(コンフィグ→タイトルに戻る、または全滅時の中断orオートセーブ再開)よりもタイムが遅くなります。再起動よりも全滅を待った方が早い場合もあります。

ソフトリセット
※全員マヒで逃げられずリセットの方が早い、こんなときにソフトリセットが欲しい!(ありません)

ソフトリセット2
※全滅を待ってから、中断orオートセーブから再開の方が早い場合も


9)後列も敵から物理攻撃を食らう
旧版から大きな変更点の1つです。旧版では後列からは弓を除いて物理攻撃ができない代わりに、敵からも物理攻撃を受けないという仕様でした。しかし、ピクセルリマスターでは前列も後列も関係なく物理攻撃のターゲットになります(魔法や特殊攻撃は旧版でも後列は食らう)。
・この仕様を活かして、前列に1人死亡キャラを置いておいて、不意打ち時に敵の行動をカットするというタイム短縮方法を取っていました。タイム短縮だけでなく、不意打ち時の全滅リスク低減にもつながります。この戦法が取れなくなってしまったため、不意打ち=全滅のリスクが既につきまといます。危険なエンカのあるフィールドやダンジョンでは中断セーブを駆使していきます。

後列もタゲ
※背筋が凍る瞬間…後列だろうが容赦なく物理攻撃が飛んでくる(リセットにもう手が伸びてる)


10)テレポが敵にほぼ効かない
・RTA的には「テレポの本」がほぼ効かなくなりました。そのため、4体固定で出てくるビッグホーンとキマイラは中盤の脅威になっています。また、神経衰弱が消滅したため大量にテレポの本を購入することもできません。それでもリセット覚悟でテレポを使用する方法と正攻法で対処する方法があります。本チャートでは対策をした上で、テレポ(及びデジョン)を使用していきます。

テレポ効かない
※なんの対策もしなければ3人とも全外し…こんなこともありえる


11)逃げ確率が低下した…?
・旧版の逃げ確率は回避率に依存していたため基本的に回避率を99%にすることが鉄則でした。ピクセルリマスターでも回避率が影響しているとみられますが、全員99%でも逃げられない場合があります。詳細はまだよく分かっていません。ただ、回避率を上げる方が逃げ確率が上がるのは確かだと思います。
・回避率に関連するステータスとしてはすばやさがありますが、戦闘時の行動順はすばやさに依存しているとみられますが、回避率にも影響しますのですばやさを上げておくことも重要です。
・なお、先制攻撃でも、逃げられない場合があります。

逃げが回避率
※初期ステータスで回避率が低い状態でもミシディア周辺の敵に即逃げが可能であり、運も絡む?



12)両手盾装備で素手攻撃をするようになった
・旧版では両手に盾を装備することで「たたかう」を選択しても攻撃ができない代わりに、熟練度が2倍上がる仕様でした。しかし、ピクセルリマスターでは素手攻撃になり、素手と盾の両方の熟練度が上がるという仕様に変更されました。これにより序盤で盾熟練度が上がりづらくなっています
・なお、武器をニ刀流にした場合は熟練度が2倍で上がりますが、両手を素手にしても熟練度は2倍では上がりません(ただし、熟練度が上がる限界値は決まっています)。
・下記画像は初めて戦闘し、1回ずつ行動した戦闘後です(4体エンカ)。熟練度レベルごとに上限が決まっているため、熟練度1だと分かりづらいと思いますが、フリオニールの剣熟練度が2人より上がっています。また、マリアは両手盾ですが、盾と素手が等しく熟練度が上がっています。ガイは両手素手ですが、ニ刀流のフリオニール程上がっていません。つまり、素手と盾を除く武器のニ刀流のみ熟練度は上げやすくなっています。

盾熟練度
※素手と盾を除く武器の二刀流のみ熟練度は2倍で上がる(上限はある)。
フリオニール 片手剣ニ刀流
マリア    両手盾
ガイ     両手素手


13)魔法防御が攻撃の追加効果を防げない
・魔法防御は魔法版の回避率です。魔法防御レベルを上げることで状態異常になる確率も下がります。しかし、敵の物理攻撃による追加効果(眠りや混乱等)には影響しなくなりました。RTAではそもそも魔法防御レベルを上げることはありませんのであまり関係ないです(どのみち状態異常は刺さりまくり)。


14)ムービースキップ不可
・旧版(PSP版以降)ではムービースキップが可能でしたが、ピクセルリマスターは全て不可になりました。OPムービーもスキップできません。仕様なので仕方ありません。


15)LR同時押しによる逃げコマンド消滅
・旧版ではLR同時押しでどの状態からでも逃げるを選択することができたのですが、「逃げる」を毎回選択する必要があります。オートモードが実装されたため通常は操作自体に問題はないのですが、ボス戦直後や戦闘中に混乱された場合、仲間が加入した場合、リセットした直後、セミテの滝の洞窟でグリーンスライムとエンカした場合等にLR同時押し逃げがあるとかなり便利だったのですが。これも仕様なので仕方ありませんね。

LR逃げ
※混乱になると自動で「たたかう」になる、次の戦闘のオートモードでも「たたかう」になってしまう

LR逃げ2
※仲間加入時は最初に「にげる」を選択しないといけない



その2に続きます。次回からチャート編です。

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